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ケース紹介

 

ケース紹介111 Kさんの事例

40代 / 女性 / 会社員

借入の理由:離婚、教育費


厚木市居住の40代女性のケースです。

日本政策金融公庫や銀行、信販会社、消費者金融に400万円程度の債務があり支払いが難しいとして相談に来たものです。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

夫の金遣いと離婚

当初は、銀行のカードを作ったものでした。

最初は、ローンカードだと知らなかったのですが、その後、キャッシングができるカードだと気づきました。勧誘されてそのまま作っていたとのことです。

当時、結婚していたのですが、夫は金遣いが荒く、生活費を入れてくれず。

扶養の範囲内でパートをしていましたが、それだけでは、生活費が足りずに、銀行のカードを使ってキャッシングをしました。

結局、夫とは離婚が成立。当時、キャッシングの残高は80万円程度になってしまっていました。

ここから母子家庭に。

 

教育費借入

就職して支払を続けるも、子にかかる費用や、更新料など住居にかかる費用があり、銀行の返済が厳しくなってきました。

以前に家賃支払で作ったクレジットカードでキャッシングをして生活費にあてたりもしていました。

また、引越し費用や子供の制服費用などが足りないと、それまでのカード以外に消費者金融に手を出すように。

さらに、教育費がかかることから、日本政策金融公庫から教育費ローンとして借入れをして、子供に関する費用などを補いました。

日々の生活でいっぱいいっぱいだと、自宅の賃貸借契約の更新料や教育費に備える余裕がなく、そこで借入ということはよく見られます。

 

収入が不安定に

その後、収入が不安定となり、それまでの借金の返済が厳しくなってきました。

借金は、月額7万円程度の返済。

仕事は、忙しさに並があり、残業が多い月は、月収が19万円程度になるのですが、忙しくない時期は月収が15万円程度になってしまいました。


収入が少ない月には、単発的にアルバイトをするなどして補っていましたが、そのような生活にも限界が来て、支払が難しいと感じるようになりました。

車を処分して、家計の支出を抑えようとしましたが、それでも返済は難しいと感じ、法律相談に来たというものでした。

 

残業代の減少

返済計画を立てる際に、不安定な収入を前提にしてしまうことは多いです。

今回は、残業代ありきで返済可能額を考えて借入をしてしまっていました。

しかし、会社は、残業を減らそうという動き。そもそも、残業代は例外的な収入です。本来は、会社は残業を前提にしてはいけないのです。多くの会社で、残業を減らす動きが出ています。

そうすると、この収入分が減るので借金の返済が厳しくなってしまうのです。

ボーナスを前提にした支払計画と同じようなリスクがあります。職場の業績悪化により払えなくなってしまうのですね。

関連サイト ボーナス払い併用のリスクは?

 

自動車の売却

破産申立前に財産を処分している場合には、その内容を申告する必要があります。

不当な財産処分がなかったかチェックされるわけです。

財産価値、処分額、処分方法、代金の使途などを報告する必要があります。

 

今回は、通帳に40万円程度のの入金があったので、そこで補足説明。

車検もあり、維持するのが難しかったので、ネットで一括見積をとり、一番高い所に売却した代金と説明しています。

使途についても、借金の返済や、申立費用ということで問題になりませんでした。

また、通帳には、車を処分したことで、駐車場の契約を解約したため、敷金が戻ってきた記載もあったので、こちらも説明をしています。他にも、自動車保険の精算金などが入金されていれば、その説明も必要です。

 

親族の入出金

預金通帳を見ると、親族名の入出金がされていることがあります。

この場合も説明が必要です。

その金額や頻度によっては、親族の預金通帳も調査対象として提出が必要になることもあります。

高額な資金移動がある場合には、実質的には破産者の財産なのに、親族に移しているだけなのでは?と疑われるわけです。悪質だと判断されれば、破産管財事件となることもあるでしょう。

当然なら受け取った入金記録より、財産を減らした送金記録のほうが問題となりえます。

今回は、母への送金があったことから、確認をしましたが、立て替えてもらった食費等を精算ということで、貸し借りではなく、問題にはなりませんでした。

 

 

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