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ケース紹介114 Kさんの事例

50代 / 男性 / 会社員

借入の理由:住宅ローン、収入減


秦野市居住の50代男性のケースです。

住宅ローン残債務など、15社以上に3000万円以上の借金があり、どう考えても支払いができないということで相談に来たものです。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

住宅ローン

当初は、地元の横浜銀行や公庫から住宅ローンを借りて自宅を購入。

その後は、収入の範囲内で生活をして、住宅ローンも返していました。

しかし、あるときから、クレジットカード会社や消費者金融から借入をするようになりました。

 

子にかかる費用

相談者には娘がいます。ただ、教育費については借入をせずに済んでいました。子が成人に達してから費用がかかるという珍しいケースです。

娘は、外国人と結婚。娘には蓄えがなく、新居への引越費用や家財道具を相談者の蓄えで負担。

ここまで借入はしていないので、特に問題はありません。

しかし、その後、娘は離婚。

娘の不貞が問題となっての離婚だったため、相談者である親も責められました。相手本人や兄弟からも責められることに。

法的には責められるものではありませんが、文化の違いにより、当たり前のように家族が責められてしまいました。

なぜか、自分たちで80万円の慰謝料を支払うことになり、そのために借入。

 

家族にかかる費用

子の次は、親の費用が発生。

別居していた親が、仕事ができなくなり、年金だけでは生活できなかったことから、月に3万円程度の生活費を負担。

兄弟姉妹は、仕事もしておらず、自身が負担しなければならないと考えました。

このような親の負担や介護費などで家計が圧迫されてしまうことはよくあります。

 

自動車の買い替え

家計の圧迫、借金もあるなかで、自動車購入。

銀行など複数社から借入をして、200万円程度の車を購入。

それまで乗っていた車が20年程度乗っていて、さすがに調子が悪かったため買い換え。

社」んをしたものの、この時期には、約45万円の月収がありましたので、これらの返済も十分にできると考えていました。

 

収入の減少

しかし、勤務先の業績が急激に悪化。

月収が25万円程度に下がってしまいました。半分近い減額です。

このようなことは雇用契約上起こりにくいのですが、残業代が多い、休日出勤が多い、歩合が多いなどの場合には、これらの変動部分が削られ、収入が大きく下がってしまうことがあります。

親の扶養、住宅ローンの返済や、それまでの借金の返済をするには、とても足りずに借入で補いました。

 

その後、勤務先の業務縮小により、転職。

収入はさらに下がりました。

年齢から転職も難しく、契約社員で入社。

しかし、月収はより下がってしまい、借金は返せなくなりました。 保険の解約など家計の収支改善を進めたものの間に合いませんでした。

住宅ローンの返済もできなくなり、借入もできなくなり、自宅は競売となりました。競売後も、住宅ローンの残債務が相当あり、さらに下がった今の収入では払えないと考えるようになりました。

 

自宅の競売

住宅ローン破産では、自宅を任意売却してから破産するケース、売却前に自己破産の申立をするケース、競売後に申立をするケースなど、手順は様々です。

自宅を競売後に住宅ローンの残金の請求をされて自己破産に踏み切るという人も少なくありません。

競売と任意売却の比較でいうと、競売の方が長く居住はできます。ギリギリまで住んでいるような感じです。

その分、固定資産税は、年をまたげば負担が発生します。

一般的には、競売より任意売却の方が高く売れることが多いです。しかし、いずれ支払いができない、自己破産を決めているような場合には、売却価格に債務者はあまり利害がないともいえます。

売却価格によって、破産しなくても済む可能性がある、高く売れそうだという場合には、任意売却を進めるべきでしょう。

いずれにせよ、不動産を手放しているということを、登記簿謄本や競売記録の配当表などで示していく必要があります。任意売却の場合には、売買契約書や代金の領収書、分配表などを提出します。

 

申立までの期間

弁護士に依頼した場合、受任通知を送ることで、返済がとまります。

しかし、そこで、安心してしまい、今度は、弁護士事務所からの連絡も対応せずに放置してしまう人がいます。

受任通知だけでは手続は何も進んでいません。

必要書類を集めて裁判所に申立をして初めて手続が進みます。この準備を怠ると問題になります。

準備を怠り、弁護士に辞任されたといって、ジン法律事務所弁護士法人に相談に来る人もいます。

債権者の返済を止めてから、長期間が経っているため、裁判リスク、差押リスクは高い状態となります。

また、裁判所に申立ができても、支払を止めてから長期間が過ぎているような場合には、なぜ遅れたのかという説明も求められます。

あまりにも遅れると、それを理由に管財手続とされ、費用が余計に発生することもあります。

 

今回のケースでは、申立は遅れたものの、母の介護等理由があり、その説明をすることで、同時廃止による免責許可が出ています。

住宅ローン破産、収入減が要因ということが伝わったことから無事に解決ができたものです。

 

 

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