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ケース紹介151 Kさんの事例

30代 / 女性 / 生活保護

借入の理由:事業資金、病気、任意整理


神奈川県相模原市在住の30代女性のケースです。

過去に任意整理などをしてきたものの生活保護となり、自己破産の相談に見えました。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.9.17

エポスカードのショッピング利用

10年以上前に、エポスカード(丸井)のカードを作り、ショッピングなどに使っていました。

こちらは一度、完済していました。

神奈川県を地域では、デパートのマルイが展開していたこともあり、女性が初めて作ったクレジットカードとして、エポスカードが出てくることが非常に多いです。


ショッピングで便利に利用していたのであれば問題ないですが、自己破産をするような人は、徐々にリボ払いや、キャッシングに手を出してしまうことになります。

海老名

自営業での自己負担

しばらく使っていなかった、そのカードを使って、借金を再開してしまいました。

あるジャンルの講師の仕事を自営業として始めたのですが、イベントの開催費用を自分で負担しないといけなかったり、外注費がかかったりと、予想以上の支出が多く、利益はほとんど出ませんでした。


イベント時の衣装を買ったり、生徒さんと食事に行った際の支払いなどでお金が足りないと借金をしていました。


個人事業での経費を借金

副業ブームなので、個人事業を始める人も多いでしょう。


自営業では、普通の家計管理以上に、収支の把握が必要です。


売り上げだけに注目するのではなく、収入に対して、どのような経費がかかるのか、経費を引いた利益はいくらなのか、そこに課税される税金はいくらなのかなどを考えないと事業設計ができません。

これらの会計のデータをしっかり把握でき把握できないと、売り上げは出ているのに現金がないということで、安易に借金してしまいがちになります。

自営業であれば、自由が多いと考える人が多いのですが、それは、会計上の問題がクリアできての話です。
会計上の数字が苦手な人は、これが得意な人を味方につけ、管理してもらったほうが良いでしょう。

 

精神論で自営業を続けてしまう

何年間も休みなく働いていましたが利益は増えず、経理等の計算が苦手なので、どうしていいか分からず取引先社長に相談したところ、6年は続けてみるよう言われたので、何とか頑張って続けてきました。


ただ、利益が少なく、借金が増えていくなかで、ストレスが増え、ストレス解消のために借金で洋服を買ったり、外食をしたりしたこともありました。

相談相手を間違ってしまった典型例です。

昔の人には、とりあえず3年間がんばれとか、6年間は修行だというように、一定期間の時間を犠牲にすることで、成果が出るとアドバイスする人も多いです。

しかし、これは何の根拠もありません。

時間をかけることによって、成果が出るものもありますが、方向性が間違っていれば、時間をいくらかけても意味がないことになります。
その方向性のアドバイスを求めているのに、単に時間をかけるというのは、精神論に過ぎません。

精神論
たまたま、方向性が合っていれば、時間をかけることによってうまくいくかもしれませんが、方向性が違うのであれば、無駄な努力となります。

このような環境で生活していると、ストレスが溜まり、ストレス解消のために借金をしてしまうと言う事態に陥ってしまうのです。

 

任意整理による解決

借金が増えてしまったので、数年後には、任意整理をして、借金をせず、毎月3万円程度の支払いにしてもらいました。
自営業の利益が、月に数万円は出ていたので、この金額であれば支払える見込みでした。

任意整理は、弁護士などの専門家が、貸金業者と個別に交渉し、将来の利息をカットした上で、分割払いの和解を成立させる解決方法です。
これにより、返済額を減らせたり、借金を減らせるスピードは早くなるメリットがあります。

 

病気により廃業、離婚

先が見えたかたと思いきや、持病が悪化し、倒れてしまいました。

病院で診てもらったところ、仕事を続けると命に危険があると言われました。

また、その頃、夫との間で離婚の話が出てしまいます。

夫が、講師の仕事の経理を担当してくれていたので、夫がいなくなれば、自営業は続けられない状況でした。これらの理由で廃業しました。

夫と離婚することになり家を出るように言われ保険を解約し、引越し費用を捻出。

任意整理の返済について、親の援助を受けながら続けるも、親からの援助も打ち切られ、返済も生活もできなくなってしまいます。

何とか生活をするため単発のアルバイトをするなどして、生活費を稼ぎましたが、発作が出てしまい断念。

生活保護の受給となりました。

 

生活保護で自己破産

自己破産をする理由の中には、このように病気による失職というケースも多いです。
病気による健康リスクは、誰にでもあるものです。
なるべくこれを減らすように、健康管理をしっかりしておきたいところですが、どうしても避けられない病気はあるでしょう。

病気


そのような場合に、家族がセーフティーネットになれば良いのですが、今回のケースのように離婚となってしまうと、セーフティーネットとしては機能しなくなります。
親など、他の家族にも限界があります。


そのようなときのために、生活保護があるいえるでしょう。


相談者の方は、生活保護受給に抵抗があり、なるべく避けようとしたり、アルバイトでも続けようとしていますが、やはり、病気のところで厳しくなってしまっています。

任意整理による支払いを頑張ってきてあと少しで解決だったところではあるので、残念ではありますが、生活保護を受給しているのであれば、借金の返済は認められず、自己破産という選択になってしまいます。

自己破産手続きの中でも、このような事情は認められ、特に問題なく免責許可が出ています。

生活保護を受けている場合には、自己破産手続きは、法テラスを利用することにより、実質負担がなく進めることができます。

 



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