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ケース紹介

 

ケース紹介49 Tさんの事例

40代 / 男性 / 会社員

借入の理由:情報商材、収入減、同時廃止


伊勢原市にお住まいの40代男性のケースです。

横浜銀行のほか、JCB、三菱UFJニコスなどの信販会社のほか大学病院に対する医療費の未払いもあり、8社に対して負債総額580万円の借金が払えずに相談に来ました。

 

同居家族の収入変動が借入の原因でした。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

 

銀行からのカード借入

当初は、銀行で勧誘を受け、提携クレジットカードを作成し、日常の決済に使用していました。

銀行での勧誘ということで、抵抗なくカードを作ってしまう人も多いです。

もちろん、使い方が正しければ問題ありません。

ただ、カードを使うようになると抵抗が減り、他のクレジットカードも作り、決済手段が複数になる人もいます。

この方も、徐々にカードが増えている状態でした。

 

将来不安からの情報商材

この方の主な借入原因は、情報商材でした。

今の時代、SNSや動画での勧誘も多く、情報商材の費用で多重債務になってしまう人も多いです。

この方も、将来不安を煽られ、働けなくなったときのため、資産を形成しようと考え、情報商材を購入するようになっていました。

もっとも、当初は、収入の範囲で購入していました。

また、情報商材を購入するだけで、実際に投資等を行うこともありませんでした。

 

詐欺被害

情報商材で多重債務になっている人は、詐欺被害にもあいやすいです。

おそらく、ターゲティング広告などからきっかけが生じていると思われます。

相談者の場合、当初は、ロトの当選番号予想情報を数千円で購入しました。

結果、当たりませんでした。また、購入も数千円であり、借金にまではなっていません。

しかし、その後の、追加勧誘を受けます。

業者から、「我々は当選番号を決めることができる」「その番号の情報料として、当選金額の一定割合を払ってほしい」などといった内容の勧誘電話がかかってきました。

勧誘は強引で、職場にも電話がかかってきました。

そこで、怖くなり、業者の言うままに、銀行のカードローンを契約し、業者に支払いをしてしまいます。

この事件で、50万円以上の債務を負う形になりました。

 

返済のため情報商材を追加購入

ここで作ってしまった借金を返済するため、情報商材で利益を上げなければならないと考え、情報商材を購入する量が増加していきます。

次第に収入だけでは情報商材の購入資金が不足するようになり、借入をして購入するようになってしまいます。


残念ながら、情報商材を購入するものの、初歩的な説明や難解な内容が続き、最後まで終了できる教材はほとんどありませんでした。

そのため、利益を出す自信を持てるだけの知識が身につかず、商材の指示通りの投資を実行もできませんでした。

仮に、実行していたとしても、もちろん利益を出すどころか損失が出てしまった可能性もあります。

投資にはリスクがつきもので、借金をしてまでするものではありません。

 

収入の減少

情報商材の借金を収入から返済していたものの、職場の契約内容、勤務形態の関係で、それまでの収入が維持できない見込みとなってしまい、借金の返済ができなくなってしまいました。

そこで、相談に来ました。

この時点で、当初の詐欺被害からは数年が経っており、連絡先も不明、警察への届けもしていないということで、被害回復は困難でした。

 

免責不許可事由の浪費

収入に見合わない高額支出は、浪費になります。

浪費による債務負担は免責不許可事由になります。この場合、裁判官による裁量免責を狙うことになります。

 

今回のケースでは、負債の形成が情報商材の購入によるものではあるものの、減収までは返済の見込みが存在していました。

破産の原因は専ら収入減少だったのです。

また、相談者は、ロト、外国為替証拠金取引を多少はしたものの、いずれの損失も数百円から数万円程度であり、支払い不能への影響はほとんどありませんでした。

      
情報商材は、当初、安価な商品を購入したことから、高額商品の勧誘等も受けるようになり、購入金額が増加していったものでした。

情報料の支払いもその一環と推測されましたが、職場への連絡・勧誘から混乱・畏怖し、支払いをしてしまったものであり、詐欺被害的側面を有していました。

相談者においても、収益化よりも情報商材の購入に偏っているところはありましたが、当時の収入で返済可能な範囲で購入していたことも考慮すれば、浪費に該当したとしてもその悪質性は高くないといえました。

 
支払停止以降、収入の範囲内で生活しており、生活のレベルを現在の収入に見合ったものに切り詰めている事情もありました。

著しい浪費傾向等が存在するわけでもありませんでした。

これらの事情を伝えて、裁量免責が相当との意見を出しました。                              

 

同時廃止による免責許可

免責調査型での管財事件とされてもおかしくない事情でしたが、収入・財産状況も考慮してもらい、破産管財人はつけずに、同時廃止手続きで進められ、裁量免責が出され、無事に解決できました。

 

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