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ケース紹介

 

ケース紹介50 Iさんの事例

50代 / 男性 / 会社員

借入の理由:勤務先倒産、転職


茅ヶ崎市にお住まいの50代男性のケースです。

楽天カードのほか、信販会社の借り入れがあり、合計5社に対して負債総額450万円の借金が払えずに相談に来ました。

 

過去にも自己破産があり、2回めの自己破産を希望という方でした。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

 

過去の自己破産

2回めの自己破産の場合、7年以内ですと、免責不許可事由となります。

7年が過ぎていれば安心かというと、そうでもなく、2回めとなると審査は厳しくされます。

過去の自己破産と同じような事情なのか、今後は大丈夫なのかをチェックされます。

 

そこで、初めての自己破産の事情から説明する必要があります。

その事情は次のような話でした。

勤務先会社の経営が傾き、給与が数か月分遅滞するなどした挙句、経営者が夜逃げしてしまったのです。

それまでに、自動車のローンや消費者金融からの借り入れ(経営者に運転資金として貸し付けていた)により380万くらいの債務に膨れ上がっていました。

このような事情により仕事を失ったため、返済ができなくなり、当時居住していた地域の裁判所で自己破産をしました。このとき、債務は免責されていました。

 

自己破産後の借金

自己破産が認められてからは、借金をしない生活を続けていました。

しかし、東日本大震災が発生した後、当時勤めていた勤務先の売り上げが激減し、給与の支払いが遅れました。

やむなく、生活費を楽天カードから借り入れました。

この勤務先での給料は、多い時は30万円くらいありましたが、だんだん減ってきていて、月15万円くらいと半減してしまいました。

収入を増やすため転職して引っ越し。

その時の引っ越し代や転職の準備費用を楽天銀行から借り入れました。

同じ楽天系からの2社目の借入となります。

 

収入は増えず

復興バブルを当てにして転職したものの、仕事量に見合う収入は得られませんでした。

結局、月収は13から15万円ほど。

信販会社のキャッシングを利用しないと生活できない状態でした。

 

さらに、不幸にも、相次いで交通事故に遭い、その後、肉体労働を伴う仕事に負担を感じるようになりました。

以後の生活はクレジットカードで購入してリボルビング払いで支払うような生活でした。

先送りの生活です。

 

怪しいビジネスに手を出す

このような多重債務状態に陥ると、藁にもすがる気持ちで、怪しい商法、ビジネスに引っかかってしまう人が増えます。

悪質商法、詐欺商法、効果の薄いセミナー等でより多くの債務を負う人が出てきます。

今回の相談者も、健康食品の販売というネットワークビジネスにも参加してしまいます。

収入を上げたい一心で手を出しましたが、実態はいわゆるねずみ講でした。

ここに参加するため、初期投資分として商品を購入する必要があり、カードで30万円を借り入れてしまいます。

しかし、ほとんど売れないほか、また月に数万円の参加料をとられ、数十万円の赤字になり、終わります。

 

換金行為

このような怪しいビジネスにたどりつく人の中には、ネット上で知り、換金行為をしている人もいます。

こちらも破産手続では問題視される行為です。

ただ、その内容としては、15万円のパソコンをクレジットカードで購入してすぐに転売し、売却代金10万5000円を取得したというものでした。


当時勤務していた会社を解雇され、数日後に自宅家賃の支払期限が迫る中で、他に家賃を工面する方法が思い当たらなかったため、このような換金行為をしてしまいました。

売却代金は、家賃の支払に充てています。

就職先が見つかれば返済できるだろうと考えていました。


ネット掲示板等を調べ、換金行為は「グレーである」という話も目にしていました。

しかし、その時は家賃の支払い期限が切迫していて、就職をして返済すれば問題ないであろうと後先をよく考えずに換金してしまったのです。

 

職を転々とする

その後、職や住居を転々としながらの生活となってしまいます。

転職活動をしながら家財をネットオークションで売却してなんとか生活をしていました。

転職をするものの、勤務先社長とうまくいかず、すぐに辞めることになるなど、家計の改善からはほど遠く、支払ができない状態になりました。

 

同時廃止による免責許可

このような事情でしたが、収入・財産状況、家族構成も考慮してもらい、同時廃止手続きで進められ、無事に免責が許可されました。

 

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