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ケース紹介

 

ケース紹介71 Kさんの事例

30代 / 男性 / 会社員

借入の理由:交際費用、接待費用、什器・備品購入費用、自動車購入


厚木市にお住まいの30代男性のケースです。

プロミス、楽天カードなどクレジットカード会社や東京スター銀行などの6社に対し、負債総額1000万円の借金が払えずに相談に来ました。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

 

引越し費用

最初の借り入れは、引越し費用がきっかけでした。


一人暮らしをしていたところ、別居の母親が怪我で入院してしまい、実家に戻らざるを得なくなりました。
自己都合による引越のため、会社に費用を負担してもらえず、引越費用に充てる目的で消費者金融と契約し、数万円を借り入れました。

翌月、人事異動があり、通勤が不便なので引越ししようと思い、会社に引越費用の負担を申請しましたが通りませんでした。
そのため、再度自己負担で引っ越すこととなりました。
その後、暫くは生活費など足りない時に度々借り入れをするようになりました。

 

交際費の増加

新事業の責任者になり、部下の士気を上げるために自己負担で食事会を行い、支出が膨らんでいきました。
足りないときは借り入れを繰り返し、ボーナスも使って何とか返済をするようになっていきました。

人事異動により、吸収合併してできた新事業の実行役となりました。
吸収した側と吸収された側の従業員同士の摩擦が各部門とも激しかったので、コミュニケーションによって解決を図ろうと週の半分は飲み会に参加したので、支出が増えました。
次第に出張も増え、多いときは半月程度出張のために、その際の食費なども一時的に補うために、更に借り入れを繰り返すようになりました。

 

自動車購入のためクレジットカード作成

業務中に自家用車が当て逃げ事故に遭ってしまい、修理費が高額になるので新たに自動車を購入しました。
その際にローン申請をしましたが、頭金があればローンを組めるとのことでした。
それほど手持ちがなかったので、自動車販売店のスタッフの勧めでクレジットカードを作成し、そのショッピング枠で分割購入することになりました。


交際費や必要経費の自己負担

人事異動で新事業の生鮮品直売所の責任者となりましたが、着任時はすでに多額の赤字を計上しており、廃業寸前の状態でした。
会社と生産者の間での問題が次から次に発生し続けていたので、生産者との交流や従業員の士気を高める目的で、自己負担で飲み会や食事会を開催しました。
また、直売所の什器や備品の購入も自己負担で行いました。
そのため、家計も苦しくなり、一時しのぎのためにクレジットカードで携帯電話料金などを支払うようになり、債務が著しく膨らみました。


ギャンブルなどによる支出増加

少しでも収入を増やして返済に回したいという安易な考えから、競馬に手を染めるようになりました。

今は競馬の馬券をインターネットや携帯電話のアプリでを使って簡単に購入できる時代です。
競馬に対するイメージも、CMの効果もあってか、爽やかなイメージになってきて、始めるハードルは低くなってきているようです。
ですが、爽やかなイメージに変わりつつあっても競馬はギャンブルです。
ギャンブルは依存性があるので、止めるのは相当大変です。

相談者も最初は微々たる額を賭けていましたが、次第に増えていき、多いときは1日20万円以上費やすこともありました。


限度額到達のための新規契約

とうとう2社の限度額に達してしまい、その支払いをまとめるために新たにクレジットカード会社と契約しました。
借りたお金は2社の返済に充て、またそこから借り入れるようになりました。
その後、事務所や直売所の備品が必要となり、自己負担で新たに購入するために、更に別のクレジットカード会社とも契約しました。

複数ある契約を一本化すると、これ以上借金ができないという不安感から解放され、借金も減ったようにも見えますが、実際は減ることはありません。


ですが、簡単に借り換えができたと感じ、最初に契約していた会社からまた限度額まで借りられるという心にゆとりができてしまい、安易に借り入れを繰り返すという負のスパイラルに陥ってしまうことがあります。
この相談者も、ゆとりができたと感じたのか今までの借り入れしていた金額よりもより多くの金額を都度借り入れるようになってしまい、借金が更に膨れ上がりました。


完済後の再度の借り入れ


各社の借金を完済するためにおまとめローンの契約をし、他の債務を完済しました。
しかし、競馬の額が膨らんでしまい、完済した業者からも再度借り入れを繰り返すようになってしまいました。

 

ギャンブルにより管財事件

ギャンブルは免責不許可事由となります。
借金返済が目的とはいえ、競馬に手を出したことを相談者は反省しており、自己破産の依頼後は一切競馬はしていなかったので、裁判官による裁量免責を認めてもらうよう努めました。


ただ、今回は負債総額が1000万円を超えることもあり、免責調査をするために破産管財人が選任され、破産管財事件となりました。

そして、管財人との面談や家計簿の作成、反省文などの提出をしました。

家計を立て直すことができたので、裁量免責を認めてもらえました。

参考:ギャンブルの自己破産で失敗しないポイント

 

 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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