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ケース紹介

 

ケース紹介74 Mさんの事例

40代 / 男性 / 会社員

借入の理由:養育費、収入減、趣味への投資


厚木市にお住まいの40代男性のケースです。

消費者金融、クレジット会社、銀行などに負債総額約900万円の借金が払えずに相談に来ました。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

離婚による借入

若い頃から、クレジットカードは所有しており、日常の買い物や、キャッシング枠で少額の借り入れなどはしていましたが、収入から十分返済できる金額でした。

しかし、妻と離婚したのを機に、それまで2人の収入で回していた家計構造が大きく変わり、生活費が足りなくなることがありました。

そのため、不足分を借入れるようになり、以後次第に債務が増えていきました。

共働き夫婦の場合、住居費等の家計を2人の収入前提に設計しているので、離婚により生活環境を変えられないと、借金に陥ってしまうこともあります。

 

趣味への投資

趣味としていたマイナースポーツのプロを目指して、頻繁に練習するようになりました。

以降、練習代や用品代として、月に5万円前後を支出するようになりました。

さらに、大会に参加し始めるようになり、大会参加費用(参加費、交通費や宿泊費など)として、年間40万円ほどを支出しました。

借金を返しながら、このような生活は厳しく、大会参加費用は借り入れから支出していました。

 

転職による収入減


以前勤めていた会社から転職をしたところ、それまで手取り月収37,8万円ほどだったのが手取りで25万円くらいに下がってしまいました。

そのため、養育費の減額交渉なども行いましたが、うまくいきませんでした。

そうなると、あとは借り入れてそれを返済に充てるしかなく、だんだんやりくりが厳しくなっていきました。

ここまでの収入減がある場合、特別な事情があるとして、養育費の減額調停や審判まですれば、減額してもらえることは多いですが、そこまでの手続きはせず、交渉のみであきらめたとのことでした。

 

おまとめローン

返済先をまとめようと思い、楽天銀行や他行から借入をし、消費者金融等に返済しました。

おまとめローンのメリットは、わかりやすくなったり、条件によっては金利は安くなることです。

これに対して、デメリットは、以前の消費者金融等からさらに借りられてしまうことです。人は誘惑に弱く、ラクな手段があると飛びついてしまいます。意思の力でなんとかなるものではありません。

また、貸金業者側も商売ですので、再度借りないかと勧誘してくることがあります。

結果、以前よりも借金が増えてしまう人も少なくありません。

下手をすると、借金が倍になります。

 

売上連動給与による収入減

勤務先会社の売り上げに連動した給与をもらっていたところ、担当していた事業所が閉鎖され、給料がほぼなくなりました。

給与がゼロになり、失業保険と借り入れから返済するしかなくなりました。

税金滞納も発生。

返済できずに相談に来ました。

売上連動、歩合給料は、うまく行けばリターンも大きいですが、もちろん、落ち込むときにはマイナスも大きいものですので、そのマイナスをどう乗り切るかを考えて置かなければなりません。

 


趣味は浪費といえるのか?

浪費による借入は免責不許可事由になります。

浪費かどうかは、当時の生活状況、収入、財産状況によるので、何をしたら浪費なのかというと難しい問題です。

あくまで個別事情によるからです。

そのなかで、本来、不要な支出をしすぎている場合には、浪費と認定することは簡単です。

たとえば、接待でもないのにキャバクラに通い詰める、風俗、多額なゲーム課金、海外旅行、ブランド物の多数の購入などです。これで借金となれば、浪費とされやすいです。

 

これに対し、趣味の場合、難しい問題となります。

とくに、今回のように、プロを目指すという場合、将来への投資という側面もあります。

破産をするからすべての趣味が否定されるわけではありません。

また、プロになれば、一定の収入が得られるという場合、そのための先行投資という側面もあります。

結局、なれなかったとしても、それを浪費として良いかは疑問があります。

一方で、これを借金で補うとなると、貸主側は納得出来ない面もあるでしょう。

本来、趣味に対して、このような投資をするのであれば、少なくとも、相当の生活費削減をしたうえでなければ、浪費と言われるリスクはあるかと思います。

 

本件では、管財事件にはならず免責許可決定は出ています。

趣味への投資、セミナー等の投資がある場合も似たような論点が出てきます。

 

 


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