自己破産で処分される財産、残せる財産、自由財産と自由財産拡張の解説

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自己破産で処分される財産、残せる財産

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FAQ(よくある質問)

 

Q.自己破産で処分される財産、残せる財産は?

自己破産は、財産を処分し、債権者に配当する手続きです。

しかし、すべての財産を処分したのでは生活ができなくなってしまいます。

そこで、一定の財産を残す事は認められています。

この記事は、

  • 自己破産をしても残せる財産を知りたい
  • 自己破産前に名義変更すれば大丈夫か知りたい

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.4.28

自由財産は残せる

自己破産をしても、自由財産は残せます

まず、法律で、破産手続で処分される財産を、破産財団と呼びます。

法律では、ここに属しないものを自由財産と呼んでいます。

破産財団か、自由財産か。

 

99万円までの現金

現金については、99万円までが自由財産とされています。

66万円までの現金は、民事執行法の差し押さえでも、差し押さえが禁止される財産です。

ここに、2分の3をかけた金額が、破産財団を構成しないものとされています。

この現金は、自由財産と呼ばれるものです。

そのため、現金で所持している場合には99万円までは残せるという扱いになります。

 

直近の現金化は自由財産にならない

ただし、このような自由財産が認められると、自己破産の直近に現金化すれば大丈夫ではないかと考える人が出てきます。

そこで、直近に現金化したものは、現金化前の財産として扱われるので、必ずしも自由財産とされるわけではありません。

直前に預金口座から出金していれば預金とみなし、保険を解約すれば保険とみなすという取り扱いです。

下手に調整をしても無意味であるということです。

 


自由財産の拡張で自由財産とみなされる財産

しかし、多くの人は、現金で財産を持っておらず、違う形で財産を所持しています。

そこで、一定額までは、他の形の財産でも持っていられる、残せるという運用がされています。

裁判所によっても若干応用が異なりますが、多くの財産が、ジャンルごとに、20万円以下のものであれば、処分は不要であるとされています。

例えば、
20万円以下の預貯金

20万円以下の保険解約返戻金

20万円以下の退職金請求権(8分の1評価後)

20万円以下の価値の自動車

20万円以下の動産(中古パソコン等)

などです。


なお、多くの家財道具については、そもそも差し押さえが禁止されている財産とされ、99万円までの自由財産と同じく、自由財産扱いにされることが多いです。

例えば、一家に1台のテレビや冷蔵庫、洗濯機などは処分対象外です。

そのまま残せることになります。

これを上回る金額の場合には、原則として処分対象ですが、管財手続では、自由財産拡張の申立をすることで、一定額まで残せる可能性があります。


財産の判定基準時

財産が残せるか、処分されるかの基準時点としては、自己破産の申し立てを裁判所にした後、裁判所の破産手続き開始決定が出た時点です。

たまたま、開始決定直前に、給料が入金されて預金が増えているようなケースでは、この事情は考慮してもらえることがほとんどです。


ただし、破産手続開始までに、相続財産を得ることになるなど、そういった事情の場合には、基準時が破産手続開始決定時なので、相続財産も処分対象になってしまうわけです。



破産者の財産は処分され、家族の財産は残せる

自己破産で処分される財産とは、破産者本人の財産となります。

破産者以外の所有物である財産については、処分されるものではありません。

親や、配偶者、親族の財産等と認定されれば、破産手続で処分することができないことになります。


ただし、誰の財産であるのかは、単純に名義だけでは決められないことになります。

実質を見て判断されることになります。

名義が破産者であれば、破産者の財産とされやすくなります。

名義が、家族のものであったとしても、実質的には破産者の財産であるようなケースだと、破産者の財産とされます。

例えば、契約名義人が家族の保険であっても、保険料を破産者が払ってきたような保険の場合には、保険解約返戻金は、破産者の財産とみなされる可能性が極めて高いです。

破産者の預金口座から、家族の預金口座に意味もなく送金していれば、その預金も破産者の財産とされます。


このような財産調査は、破産者名義の預金通帳の過去の動きや、債権者との取引履歴等から始められることになります。

 

預金口座の調査範囲

裁判所によって運用は違いますが、神奈川県では、過去2年分の預金通帳の明細を提出しますので、そこで入出金がある場合には、そこから調査が進むことになります。

例えば、証券会社への送金記録や、仮想通貨、暗号資産の取引所への送金記録等があれば、今度はそちらの入出金記録や取引記録が必要になってきます。

このような財産を、自己破産の申し立て時の財産目録に載せず、財産隠しをしようとすると、破産法違反となり、免責も不許可になる可能性が高くなるので、絶対にやめましょう。バレないと考えて財産を隠してしまうと、取り返しのつかないことになります。


離婚と財産分与

自己破産の前に、離婚になってしまい、配偶者に対して財産分与をされているケースもあります。

このような場合の取り扱いも、ケースバイケースとなってしまいます。

実際に、自己破産のような借金生活になってしまったときには、それを理由に離婚するというケースも少なくありません。

そこで、車や、各種保険等の一定の財産が、離婚する配偶者名義に、財産分与で名義変更されているケースも見かけます。

自己破産の準備中でも、配偶者からの要求が強く、これに逆らえずに対応してしまう人もいます。

このような財産分与は、不当な財産分与だと判断されると、裁判所で破産管財人が選ばれ、否認されるリスクはあります。

通常、配偶者であれば、破産者の借金状況は知っているはずなので、意図的に優先回収を図った、場合によっては財産を隠したのではないかと、否認されるリスクがあります。

ただし、配偶者側も、破産者に対して、慰謝料の請求権を持っていたりとか、財産分与請求権を持っていると主張してくることもあります。

そのため、実際には、破産と離婚の時期がどれぐらい離れているのかとか、財産分与された金額が、全体の財産額のどれぐらいの割合であるのか、分与された財産の評価額はどれぐらいなのかなどの事情によって結論は変わります。

 

名義変更が、贈与であれば、否認されるリスクは極めて高いのですが、財産分野の場合には、対価性があるところもあり、最終的には問題にならないケースもあります。

ただし、このような財産の処分をしてるようなケースでは、破産管財人が選任され、否認するかどうかの調査、検討をするという流れになるので、少なくとも管財人の費用の準備が負担として増えるなどデメリットはあります。

 

自己破産と子供の財産


自己破産手続きには、子供の財産がどうなるのかと心配されることもあります。

子供名義の預貯金についても、調査対象とされることがあります。

破産者名義の口座から、子供名義の口座に対して送金されているようなケースでは、実質的に破産者の財産ではないかといわれ、預金口座の取引明細を提出するよう求められることもあります。

単に名義を変更したような場合には、破産者名義の財産と認定される可能性が高いです。

これに対して、子供が、もらったお年玉等を貯めたような口座であることが明らかである場合には、処分されないことの方が多いです。


一般的には子供名義ではないかと思いますが、学資保険については、基本的には契約者名義は誰なのか、保険料は誰が支払っているのかによって誰の財産であるか認定されることが多いです。

どちらも配偶者名義という場合には、自己破産でも処分されない可能性が高いです。


また、子供が持っている動産類にまで、自己破産で処分される可能性は低いです。

例えば、ゲームのようなものについては、そもそも処分されないことがほとんどです。

 

まとめ

このように、自己破産では、財産が処分されるとの印象を持つかもしれませんが、一定額の財産は生活に必要なものとして残せますし、家にある動産類などは、ほとんどが処分対象外となります。

自己破産を依頼してから、不当な財産処分をしてしまうと、弁護士から辞任されるリスクもありますので、そのような財産の動きがある場合には依頼している弁護士と相談してから進めるようにしてください。


どの程度の財産を残せるかも、申立の方法によって変わってきます。

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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