2回めの自己破産事例紹介。新型コロナウイルス減収が原因。神奈川県厚木市・横浜市の弁護士。

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60代 / 男性 / 無職

借入の理由:交通事故、病気、2回目


厚木市にお住まいの60代男性のケースです。

収入が途絶え、アコム等の消費者金融、銀行系のカードローン約250万円の借金が払えなくなってしまったとの相談でした。

2回めの自己破産ですが、破産管財人はつかずに同時廃止により解決できています。

この記事は、

  • 2回めの自己破産を考えている
  • 事故や病気で支払ができなくなってしまった

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.9.3

 

 

2回目の自己破産

15年以上前に、自己破産をしたことがあるとのことでした。

2回めの自己破産を希望しているとの相談です。

自己破産は、2回目であっても使うことはできます。7年以内の自己破産の場合には、免責不許可事由とされていますので、その点のフォローが必要です。

Q.2回めの自己破産の手続は?

 

7年が過ぎている場合には、破産法の免責不許可事由にはならないのですが、同じことを繰り返してしまっていることから、調査が必要とされ、免責調査型の管財手続きになりやすいです。

今回の破産理由が、浪費ギャンブル、換金など免責不許可事由につながりやすい事情があると、管財手続きにされることが増えています。

また、2回目ということから、1回めの自己破産とは事情が異なるという点をしっかり主張していく必要があります。

今回のご相談では、過去の自己破産は、飲食店を経営していたのですが、うまく行かず、事業資金による借金を返せずに、自己破産をしたとのことでした。事業者の自己破産という理由でした。

では、今回の借金理由はどのようなものだったのでしょうか。

 

妻の失職で借金を再開

一度目の自己破産から、就職もして家計を立て直した生活ができていました。

夫婦共働きをし、自分自身の月収は、手取り20~23万円程度。

妻にも収入があり、毎月35万円程度を支出する生活をしていました。

家族の収入の範囲内で生活できていたといいます。

過去の自己破産から10年以上が過ぎた後、アコムから20万円の借り入れてしまいます。

妻が、職場の人間関係が原因で仕事を突然辞めたため、生活費が不足したのが原因でした。妻はいじめに遭っていて退職したため、精神的にも、すぐに転職することができませんでした。ただ、いずれしっかりと働けるはずだと見込んで、必ず返すと考えて借金をしてしまいました。

いずれ収入が増えるのであれば、借金は返せることが多いです。しかし、その見込は外れてしまいます。

 

退職後の仕事は不安定

翌年、新生銀行からも追加で借りてしまいます。

以前の仕事をしていた際の住民税や国民健康保険を延滞しており、その支払を求められ、借り入れをして支払いました。税金の支払は、突然の財産差し押さえに動くこともあり、優先して対応しないといけません。

あてにしていた妻の収入ですが、働き始めるも、数ヶ月で辞めるなどすることが続き、家計の収入が不安定な状態でした。

返済ができている時期もあれば、収入が少なく、銀行のカードローンで新しく借りるなどもしてしまい、徐々に借金が増え、限度額近くまで借りてしまいました。

年齢にもよりますが、過去に得ていた収入と同じ程度の収入が得られないことはよくあります。

新しい職場になじめなければ、短期間で職を転々とするしかないことも多いです。

自分も家族も、退職する場合には、そのような不安定になることも想定しておく必要があります。

 

自身も転職、新型コロナウイルス

その後、妻がパートではありますが、月に17万円程度の収入を得る時期もあり、そのような時期には返済を続けることができていました。ただ、利息が高いため、借金は増えないものの、減りもしない生活が続いていました。

しかし、今度は自身の収入が変わってしまいます。

当時の仕事は、睡眠時間も足りず、肉体的にも厳しかったため、友人の伝手を頼って、転職したとのことです。

肉体労働や、副業をしている人は、年齢とともに体力的に厳しくなることもあります。

転職してしばらくすると、以前よりも収入が増えたので、これで返済できると考えていました。

しかし、新型コロナウイルスの関係で仕事が減ってしまい、手取り月収が5万円程度減ってしまう事態となりました。結局、家計収入は減少。一時的なものだろうと考えて、何とか借り入れと返済を続けてきました。

 

事故による入院で収入が途絶える

そのようななかで、交通事故(自損事故)を起こしてしまい、長期入院に。

同時に、病気が発覚。手術・治療もおこなうことになり、失職。

精神面の病気も悪化してしまい、治療に専念する生活となってしまいました。妻に借金返済を頼んでいましたが、当然ながら、限界となり、返済を停止。

退院後に、求職活動をするも、通院治療も続いていることや、車の運転もできなくなったことから、再就職ができておらず、生活費もままならないため、借金については、自己破産をするしかないとの結論でした。

 

税金の差し押さえ

借金とともに、住民税等の滞納も解消できていませんでした。

市から高額医療費の還付があったのですが、住民税や過去の国保の滞納があったため、入金直後に預金口座を差し押さえられるなどもしていました。

高額医療費は戻ってくるので、医療費の自己負担は少なくて済む、というのは、滞納がない人の場合です。

差押えが禁止された年金などが預金口座に入金直後に差押えられる事例もなくなりません。裁判などで争うこともあり、勝訴している裁判例もありますが、結局、滞納はなくならないので費用対効果から裁判までしない人が多い問題ではあります。

 

同時廃止により免責許可

厚木市にお住まいのため、自己破産の申立は横浜地方裁判所小田原支部にしています。

2回めの自己破産でありましたが、今回の借り入れ理由に、浪費等の免責不許可事由がなかったこと、相当期間が過ぎていること、支払不能になった理由も、新型コロナウイルス、事故、病気と予想しにくい事情であったことから、破産管財人を選任する管財手続きではなく、同時廃止により免責許可となりました。

Q.同時廃止と異時廃止の違い、基準や条件は?

 


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