先物取引の自己破産事例。神奈川県厚木市・横浜市の弁護士。

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ケース紹介229 Mさんの事例

50代 /男性 / 会社員

借入の理由:先物取引、教育費


厚木市にお住まいの50代男性からの相談でした。

主に先物取引を理由に多額の借金を負ってしまい自己破産を希望しているとの相談でした。

この記事は、

  • 先物取引で多額の借金をしてしまった
  • 個人再生後の自己破産をしたい

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.4.27

 

先物取引とは?

先物取引とは、将来の特定の日に、あらかじめ決められた価格で商品を売買する契約のことです。

例として、定食屋さんがあります。野菜、魚、肉、お米などの材料の価格は天気や環境によって変わりますが、定食の価格はすぐに変更できません。お米の価格が上がると利益が減ります。そこで、将来一定の価格でお米を購入する契約を結ぶことで、利益を安定させることができます。

この契約により、将来の特定の日に、現在決めた価格でお米を買うことができます。市場価格が上がっても安く、下がっても高く買うことになりますが、利益は計画通りになります。

お米を売る農家も、一定の価格でお米を売る契約を結ぶことができます。豊作で価格が下がっても高く、凶作で価格が上がっても安く売ることになりますが、収入は計画通りです。

このように、先物取引は、価格変動のリスクを避ける方法として使われます。

しかし、この仕組を使って、投機取引がされるようにもなっています。

価格変動を利用して、上がると思えば買い、下がると思えば売りを行い、期限までに反対取引をすることで利益を得ることもできます。

 

先物取引のリスク

先物取引のリスクについて簡単に説明します。

先物取引には、株式投資にはない独自のリスクが存在します。取引を行う前に、リスクを理解し、自己責任で判断してください。

まず、元本や利益は保証されません。
また、市場の変動によって、損失が大きくなる可能性があります。
思った値段で取引ができなくなることがあります。
さらに、追加の証拠金が必要になる場合があります。

例外的ですが、システム障害で取引が遅れたり中断されることがあります。

たとえば、株価指数先物取引では、日経平均株価などの指数の変動によって価格が上下し、損失が発生することがあります。少額の証拠金で大きな取引が可能なため、想定外の大損失が発生することもあります。

証拠金取引ではレバレッジをかけるため、損失が大きくなることがあるのです。

先物取引で自己破産

 

先物取引の2大リスク

先物取引にはリスクがあります。主なリスクは「レバレッジ」と「追証」です。

レバレッジは、預金された金額の何倍もの取引ができるシステムです。

例えば、10万円を証券会社に預けて、10倍のレバレッジを使うと100万円分の取引ができます。利益が出れば、レバレッジ分だけ利益が増えますが、損失が出ると、それも10倍になってしまいます。レバレッジ取引は高リスク・高リターンです。

追証は、レバレッジ取引で損失が出て口座残高がマイナスになった場合、証券会社に返済しなければならない制度です。

この時、追加で請求される証拠金が「追証」です。取引金額やレバレッジ倍率が高いほど、追証リスクも高まります。

 

先物取引での損失

予想と反対の価格変動が起こると、短期間で証拠金の大部分または全額を失うことがあり、損失は証拠金だけでなく無制限になることもあります。

相場変動で計算上の損失が発生する場合、追加証拠金が必要になることがあります。

預託していた証拠金だけで足りずに、さらに証拠金を求められるわけです。債務が発生してしまうのです。


先物取引は、決められた期限内に反対売買やSQ決済で決済しなければなりません。

期限内に決済しないと想定外の損失が発生することがあります。

さらに、証拠金が期限内に入金されない場合、強制決済が行われ、損失が発生することもあります。

 

なお、市場の状況によっては、意図した決済ができないことがあります。
市場状況により、証券取引所が制限値幅を拡大することがあり、1日の損失が予想以上になることがあるのです。

 

先物取引やFXのリスク

先物取引やFXは、収入とバランスが取れた範囲内で行っていれば問題ないですが、これらの取引は投機性が高く、大きな利益も大きな損失も生じる可能性があります。

利益を追求して資金を投入しすぎると、債務が返済できないほど増えることがあります。

破産法では、先物取引やFXで大量の借金を抱えた場合、自己破産しても免責が認められないことが原則です。

しかし、裁量免責制度により、特別な事情があれば免責を受けられる場合もあります。

裁量免責は、裁判所が免責を認めるかどうかを判断する際、免責不許可事由の内容・程度や債務者の反省、経済的更生の可能性、破産手続への協力などを考慮してくれる制度です。これらの事情で、裁判官が免責のほうが良いと考えるなら、免責が認められるのです。

先物取引やFXでの借金では、これらに対して反省し、正直に事実を申告し、破産手続に協力することが大切です。

 

 

先物取引と債務整理

先物取引の借金は、債務整理で解決できます。

債務整理は、借金の減額や免除、返済期間の見直しなどができる制度です。

ただし、債務整理をすると信用情報に「事故情報」として登録され、新規の借入やローンが組めなくなり、クレジットカードも使えなくなるデメリットがあります。

借金を抱えた場合、自転車操業は避けましょう。これは、借金で借金を返す行為で、破綻のリスクが高く、被害が拡大する可能性があります。自転車操業よりも、最初から債務整理を検討する方が賢明です。

借金の金額が少なければ任意整理を選び分割で支払っていく人が多いですし、借金が多ければ財産状況によって個人再生や自己破産を選ぶ人が増えていきます。

 

 

個人再生後の先物取引

先物取引での自己破産事例を紹介します。

過去に借金で個人再生をしたものの、その後に先物取引で借金を作ってしまったという相談です。

実質的には、法的な債務整理2回めというケースです。しかも、2回めに免責不許可事由があるという状態です。

このような内容だと、自己破産でも管財事件になってしまう可能性が高くなります。

 

個人再生の理由

以前の個人再生の理由は、よく飲みに行くなど飲食費が高かったことや、以前から株式投資や先物取引をしていて損失を借金で補っていたため、600万円程度の借金となってしまい、減額してもらったというものでした。

その後、個人再生の計画案による返済も終わり、お酒も減らすなどしていて家計に余力が出たため、先物取引を再開しはじめてしまったそうです。

当時の月収は35万円程度ありました。当時は、利益を出せていたとのことでした。

 

退職金を消費、カード作成

それまで勤務していた会社を退職。人事異動に抵抗があり、退職したとのことでした。

退職金として約700万円を受領。その後、2年近くは、失業保険の受給、退職金の取り崩しで生活。

日常的な決済方法としてクレジットカードがないと不便だったため、楽天カードに申し込みをしたら審査に通ったので、日常的に利用してしまいました。

さらに、退職金が入ったことから、先物取引の金額を上げてしまい、これにより3年間で約300万円の損失に。

 

再就職

退職金の残りも減っていたことや、先物取引の利益では生活できないことがわかり、再び就職しました。

しかし、子供が私立高校生だったため、予備校代や部活費用、学費、食費等の生活費負担もかかり、再就職後の収入では赤字の状態に。その赤字を補うために、消費者金融から借入で補うしかない生活に。

その後も、先物取引は多少続けていて、毎年十数万円程度の赤字でした。利益が出る取引もあり、なかなか止めることはできませんでした。

 

教育費の借金

日本政策金融公庫で教育ローンを組み、大学の入学資金を負担。

子供には奨学金を借りてもらいましたが、それだけでは足りずに、相談者名義での教育ローンも利用したとのこと。

子供の入学準備等の関係で、この頃から楽天銀行でも借入を。

借金が徐々に増え、返済すると、生活費が不足するようになり、複数のクレジットカードを利用するなど、カードが増えていく生活になってしまいました。

数年前からから、先物取引の損失が、年間50万円前後となってしまい、これを補うためカードローンを利用することもありました。

先物取引で借金

ただ、先物取引でも利益が出る年もあり、その時期には、何とか返済は続けられていました。

しかし、連続して利益を出すのは難しく、結局、先物取引がうまくいかないと、生活費や返済資金が不足し、新たな業者からも借入をするなどしてしまいます。

借金については、家族に秘密にしており、何とか返済できると考えていたのですが、家族に発覚してしまい、弁護士に相談したという経緯でした。

 

破産管財人との面談

過去に個人再生をしていることや、退職金の利用、先物取引の繰り返しもあり、同時廃止では難しく破産管財人による免責調査が必要な管財事件とされました。

破産管財人が選任された場合、通常は破産管財人の事務所で面談が実施されます。

先物取引の問題もあり、反省文の提出、家計状況の定期的な提出を指示されました。

反省文について書き方の確認を求められたので、ジン法律事務所弁護士法人にてフォローをさせていただきました。

そのうえで、あくまで一つの意見を出したりすることもあります。

弁護士側で教え過ぎると、よくある文章になってしまうので、あくまで自分で考えてもらったうえでの表現方法などをフォローする形です。

反省文の作成も、自分ひとりでやるよりは、対話を通じての方が気づきが得られることも多いと感じています。

 

破産管財人による免責意見書

免責不許可事由がある事件では、破産管財人が免責に関する意見書を提出し、詳しい事情を書くこともあります。

今回も、面談や家計状況から裁量免責が相当との意見書を出してもらうことができました。

内容としては、破産者が、多額の金員を商品先物取引の投機のために費消したことは、破産者の従前の資力・収入・職業等からすれば、「浪費」にあたるとの指摘でした。

そのうえで、破産者は管財人の求めに応じて合計3 回、管財人事務所にキャンセルや遅刻をすることなく来所し、真筆に保有財産の内容、破産に至る経緯等を説明してきたこと、弁護士介入後は投機的取引を行っていないこと、破産者は、管財人の指導にしたがい、継続的に領収証を整理し家計簿をつけてきたこと、当該家計簿から判断するに、破産者
の支出には特段不必要な支出は見られず、破産者が家計管理をしっかりとできるようになってきたものと評価できること、などから、過去の分析及び将来の対策について、相当程度真蟄な具体的検討ができていると指摘されました。

経済的更生は十分に可能であることなどから裁量免責を認めるのが相当との意見をもらえました。

裁判所でもこれを参考に、裁量免責の許可決定が出され、解決となりました。

 


先物取引を理由とした自己破産事件も多く相談があります。ご相談は無料で受け付けています。

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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